アイエヌジー、日本自走式駐車場工業会、防災評価機構に対する損害賠償請求訴訟に関して
2023.12.01アイエヌジー株式会社、一般社団法人日本自走式駐車場工業会、防災評価機構株式会社等に対する損害賠償請求訴訟に関するお知らせ
被告アイエヌジー株式会社(以下「被告アイエヌジー」といいます。)は、被告一般社団法人日本自走式駐車場工業会(以下「被告日本自走式駐車場工業会」といいます。)から委託され、当社との守秘義務契約に違反して、平成14年10月から12月にかけて当社が実施した「自動車単体燃焼実験」及び「実大駐車場火災実験」のデータ(以下「本件火災実験データ」といいます。)を、被告日本自走式駐車場工業会加盟の会員のために、自走式立体駐車場の国土交通大臣認定を取得するための「防災性能評価資料」の作成資料として無断使用等していたことが判明いたしました。
被告アイエヌジーは、今般、当社からの指摘により、本件火災実験データのうち、論文に登載されているデータのみならず、論文に実際に登載されていないデータも使用したことを認めましたので、当社は、損害額及びその他の争点について、裁判所の判断を仰ぐべく、令和5年11月30日付けにて東京地方裁判所において、損害賠償総額27億6192万円(訴額10億9864万円)の債務不履行に基づく損害賠償請求訴訟を提起しました。
被告日本自走式駐車場工業会は、被告アイエヌジーを通じて、本件火災実験データにフリーライド(ただ乗り)していたこと、そもそも、自走式立体駐車場の国土交通大臣認定にかかる「防災性能評価資料」作成に必要な「自動車単体燃焼実験」を実施していなかったことが判明し、平成15年より現在に至るまで当社に無断で本件火災実験データを使用し続けている団体です。
当社は、被告日本自走式駐車場工業会に対しても、損害賠償額の総額27億6192万円(訴額10億9864万円)の不法行為・不正競争防止法等に基づく損害賠償請求訴訟を提起し、被告アイエヌジーと連帯して支払うよう求めています。
被告防災評価機構株式会社は、令和4年10月、被告アイエヌジーから移籍した一級建築士を名乗る者が中心となり、国土交通大臣認定申請業務を引き継ぎ、これも今般、本件火災実験データをそのまま無断使用等していることが判明した法人です。
被告防災評価機構株式会社が本件火災実験データを無断使用等し、国土交通大臣認定を取得した令和4年11月から令和5年10月分までの損害賠償額が9864万円と推定されますので、同額につき、不法行為・不正競争防止法等に基づく損害賠償請求訴訟を提起し、被告アイエヌジー及び被告日本自走式駐車場工業会らと連帯して支払うよう求めています。
本件の最も重大な問題は、以下のとおり、被告日本自走式駐車場工業会の委託により、本件火災実験データを無断使用等して、①過去に建築された自走式立体駐車場及び②今後建築される自走式立体駐車場の危険性です。
令和4年9月、当社は被告アイエヌジーから、本件火災実験データを回収し、現在、被告アイエヌジーも被告防災評価機構株式会社も当社実施の本件実験データを所持していないと明確に認めています。
防災・建築の専門家によりますと、論文等で公表されたデータの根拠となる元データ・バックデータがなければ、当該建築物の防災性能を評価することはできないのは明らかとのことです。
つまり、本件火災実験データの一部を当社に無断で使用して「防災性能評価資料」を作成したとしても、その根拠となる元データ・バックデータが、被告アイエヌジー及び被告防災評価機構株式会社には現存しない状況ですので、対象となる自走式立体駐車場の防災性能については、将来大きな疑義が生じる可能性が高く、実際に火災事故等が生じた場合は、被告アイエヌジーや被告防災評価機構株式会社ではその検証や説明はできないということになります。
本件火災実験データを保有している当社としても、当社の本件火災実験データの一部分が、元データ・バックデータがない状況で一人歩きをして、「防災性能評価資料」にどのような使い方がされているか不明な状況で建築された(される)自走式立体駐車場の防災性能については、一切責任を持つことはできませんので、その危険性も含めて、ここにその概要について公表させていただきました。
債務不履行等に基づく損害賠償請求事件の提訴の概要
- 提訴日
- 令和5年11月30日
- 裁判所
- 東京地方裁判所
- 関係法令
- 民法415条、民法709条、会社法429条1項、不正競争防止法等
- 提訴内容
- 被告らの本件火災実験データの無断使用等の態様を明らかにして同行為により原告が被った損害の賠償を求める訴訟